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招かざる客 [タクシー]

午前8時58分。ここは第一京浜(国道15号)上り線品川駅すぐ手前辺り。若い奥さんに手を挙げられた。タクシーを止めると、旦那さんとお子さんがキャリーバッグを引いて現れた。朝のラッシュで人も車も大混雑の品川駅前。後ろから来る車に気を付けてキャリーバッグをトランクに積んで運転席に戻った。

「時間がないのです。飛行機に乗り遅れるかも知れません。15分で羽田空港に行ってください!」

旦那さんに告げられた。落ち着いた口調ながらも切迫した様子で悲壮感さえ伺える。

私は「15分!それはちょっと厳しいですね。」

驚きを隠せず返答した。朝の一番混んでいる時間帯である。

招かざる客のご乗車かも知れない。しかし、私の頭を過ぎるのは金だ。(笑)羽田まで4千円は出る・・・請け負うことに決めた。というより請け負わざるを得ないであろう。トランクに荷物も積み、お客様もどっかりとシートに座っているのだから強制みたいなもんである。出来る限り急いであげよう。最善のルートは青物横丁経由で湾岸R357に入り首都高湾岸線大井南から入り行くことにした。品川駅手前でUターンして向かった。

タクシーの走らせ方については、ここでは控えておこう。久しぶりに韋駄天で行くことになるからである。いかんなくクラウンハイブリッドのパワーを活かせるだろう。急かされて、大きなリスクを負ってまで急がなくてもいいのだが、楽しい家族旅行のようである。何とか間に合うようにとどうしても心情的になり人情が働く。制限速度で走っても苦情にはならないだろうが、そうもいくまい。これは自分の器量をわきまえた上での判断である。


旦那さんは航空会社に遅れる旨の電話をしている。搭乗20分前を切るのはやむを得ない。

この旦那さん中々しっかりしている。入念に最良の一番近い搭乗出入り口等を確認している。

「運転手さん、エントランスはCに着けてください!」


無事指定時間15分で到着した。

「間に合います。ありがとうございます!」の言葉に安堵した。奥さんが、他のタクシーだったら間に合わなかったかも知れないと仰ってくださったのが何よりで嬉しかった。タクシー運転手冥利に尽きる。しかし、これが毎度の事であれば身が持たない。よくあるお寝坊のための出勤等で急かさせれても抑えて走る。今回は招かざるお客様に情が動かされてしまった。

by Club-Taxi.com